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やむを得ない理由により、今回社員を解雇することとなりました。初めてのことなので解雇予告手当金の計算方法や雇用保険料・所得税を控除するのかしないのかなど分からないことだらけです。
解雇予告手当のことをわかりやすく説明していただけないでしょうか?
さまざまな理由により、どうしても社員を解雇しなければならない場合もあります。そのときに必要となるものに解雇予告手当あります。ここでは解雇予告手当のことについて説明をさせていただきます。
まず、解雇予告手当はどのような場合に支払う必要があるのかを確認する必要があります。
1)解雇予告手当の支払いが必要な場合、不要な場合
原則として解雇をする場合には解雇予告手当の支払いが必要となりますが、次の場合には解雇予告手当の必要はありません。
@ そもそも解雇予告手当の支払いが不要な場合
(ただし、所轄の労働基準監督署長の認定が必要)
・天災事変その他のやむを得ない事由により事業の継続が不可能になった場合
・労働者の責めに帰すべき事由により解雇する場合
A 次に該当する社員には解雇予告手当の支払いが不要
・日々雇い入れられる者(1カ月を超えて継続雇用された場合を除く)
・2カ月以内の期間を定めて雇い入れられる者
(所定期間を超えて継続雇用された者を除く)
・季節的業務に従事する4ヶ月以内の期間雇用者
(所定期間を超えて継続雇用された者を除く)
・試用期間の者(14日を超えて継続雇用された者を除く)
@の所轄の労働基準監督署長の認定を受けるためには、申請書に始末書・自認書・証拠書類等の添付資料が必要となり、認定までに時間がかかる場合があるほか、認定されない場合もあるので事前に所轄の労働基準監督署と打ち合わせをして進めて行くのが良いと思います。
つぎに、解雇予告手当の支払いが必要となった場合には、いくら支払えばよいのかを計算する必要があります。
2)解雇予告手当の計算方法
労働基準法第20条により、解雇をする場合は、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。そして、30日前に解雇予告をしない場合は30日に不足する日数に平均賃金を乗じた額以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。
例えば、9月30日をもって解雇する場合であれば、必要となる解雇予告手当は
・8月31日に解雇を告げる場合→30日前の解雇予告なので予告手当の支払いは不要
・9月10日に解雇を告げる場合→20日前の解雇予告なので10日分の予告手当が必要
・9月20日に解雇を告げる場合→10日前の予告なので20日分の予告手当が必要
・9月30日に解雇を告げる場合→即日の解雇なので30日分の予告手当が必要
3)平均賃金の計算方法
平均賃金は、過去3カ月間の賃金の総額を過去3カ月間の総暦日数で除して計算します。賃金締切日がある場合は解雇を告げた日の直前の給与計算締切日より以前3か月前の給与計算期間で計算します。
例えば、給料が末日締切翌月10日支払いの会社で、6月15日に解雇を通知し、即日解雇した場合は3月1日から3月31日(歴日数31日)、4月1日から4月30日(歴日数30日)、5月1日から5月31日(歴日数31日)の賃金計算期間で計算を行います。
4月10日に支給した賃金総額(残業代・諸手当・交通費など含む)が305,000円、
5月10日に支給した賃金総額が325,000円、
6月10日に支給した賃金総額が310,000円の場合は、
平均賃金=3カ月間に支払われた賃金の総額/3カ月間の総日数 ですから、
(305,000円+325,000円+310,000円)/(31日+30日+31日)=10217円39銭(銭未満は切り捨て)となります。
これで、1日当たりの平均賃金額が計算できたので、この金額に必要日数を乗じて得た額が(円未満切り捨て)を解雇予告手当として支払うことになります。
解雇予告手当の額が計算できたら、解雇予告手当から控除する金額を計算し、実際に支払う解雇予告手当の額を計算します。
4)解雇予告手当からの雇用保険料・所得税の控除
解雇予告手当は、給与ではなく、退職金と同様の扱いになります。そのため、雇用保険料の控除はなく、所得税の源泉徴収は給与と分けて計算します。
実際に支払う解雇予告手当の額が計算できたら、いつどのような方法で解雇予告手当手を支払うかを考えます。
5)解雇予告手当の支払いの時期・支払方法
解雇予告手当の支払時期については、解雇予告ないし解雇予告手当の支払が行われていない解雇は、少なくとも解雇の通知後30日の期間を経過するか所定の解雇予告手当の支払がなされるまでは無効とされていることから、解雇と同時に支払うべきとされています。
なお、支払方法については現金で手渡しても、本人の給与振込口座に振り込んでも、本人の住所に郵送してもかまいません。
解雇予告手当支払いの準備もできホットしているかもしれませんが、解雇予告手当を支払えば会社の都合で好き勝手に社員を解雇ができるというものでもありません。
6)解雇が有効な場合・無効な場合
解雇予告手当は解雇をするための最低の条件であって、解雇予告手当を支払えば会社の都合で好き勝手に社員を解雇できるというものではありません。
そもそも、社員を解雇する場合には、その解雇について「客観的に合理的な理由」が存在していることとともに、その解雇の理由が「社会通念上相当」と認められる場合でなければ、その解雇は無効となります。
解雇に「客観的に合理的な理由」が存在し、解雇の理由が「社会通念上相当」と認められ、そのうえで解雇予告手当を支払って初めて有効な解雇になるということです。解雇を行う場合には、上記のような様々なルールがあるので、慎重に行う必要があります。
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