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就業規則の基礎知識(回答)

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会社は組織によって活動するものですから、当然組織のルールが必要になります。このルールを文書にしたものが就業規則です。

良いルール(就業規則)があってこそ、
① 従業員の労働条件を画一的統一的に処理することができ、労務管理がしやすくなる。
② 会社と従業員の権利義務が明確になり、従業員が安心して働くことができる。
③ 職場の秩序が確立し、職場環境の整備が図れる。
④ 労働条件が明確にされているため、会社と従業員のトラブルの予防、対策ができる。
⑤ コンプライアンス(法令遵守)に役立つ。

など、数多くのメリットを会社に与えることができます。

就業規則は会社と従業員が互いに守るべきルールですから、会社と従業員が納得した良いルール作りができれば会社と従業員の関係が良好な関係になり、会社と従業員がこのルールを守ることにより会社の雰囲気が良くなり、結果として会社の業績向上の基礎となるものです。

労働基準法で、常時10人以上の労働者を使用する事業場ごとに就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出ることが義務づけられています。就業規則を変更したときも同様同様です。(労働基準法89条)

労働者とは、
① 会社に雇われていること。
② 会社の指揮命令を受けて働いていること。
③ 賃金(労働の対償として労働者に支払うもの)を支払われていること。

の3つの要件を満たしている者のことで、

パート社員・アルバイト・嘱託社員のような名称にとらわれず、3つの要件を満たしている者はすべて「労働者」となり、労働基準法の適用を受けます。

そのため、正社員・パート社員・アルバイト・嘱託社員などを合計して10人以上であれば就業規則の作成・届出の義務があることになります。ただし、「常時」ということですので、たまたま1週間だけアルバイトを雇い、その期間中だけ労働者が10人以上になったとしても、就業規則の作成義務は生じません。

労働基準法の事業場とは、本社・支店・営業所など会社の事業拠点と考えればよく、1つの事業場で10人以上の労働者がいる場合に就業規則の作成・変更・提出の義務があるということですから、本社に12人の労働者がいて、支店に8名の労働者がいる会社では、本社では就業規則作成の義務が生じ、支店には法律的には就業規則作成の義務は生じないことになります。

就業規則の作成・届出の義務違反は30万円以下の罰金刑となります。(労働基準法120条)

就業規則は、その事業場で働くすべての労働者(正社員・パート社員・アルバイト・嘱託社員など)の労働条件や服務規律などを定めるものです。そのため、その事業場で働くすべての労働者について就業規則は適用されます。

実務的には、正社員とパート社員などは勤務形態が異なるため、1冊の就業規則に全ての労働者の労働条件や服務規律を記載するのは難しく、正社員に適用される就業規則のほかに、パート社員など一部の労働者のみに適用される別個の就業規則(例えば「パート社員就業規則」)を作成します。この場合、個別の規程も含め、すべてを一体として「就業規則」となります。

ただし、別個の就業規則を作成する場合には正社員の就業規則に、
① 別個の就業規則の適用を受ける社員には、一般の就業規則の適用を除外すること
② 適用除外した従業員には、個別の就業規則が適用されることを明記

しておく必要があります。

正社員の就業規則しか作成していない場合に、その事業場にパート社員がいるときは、パート社員にも正社員の就業規則が適用されることになる(就業規則は、全ての従業員に適用されるため)ので、注意が必要です。退職金は正社員のみに支給するつもりでいても、正社員の就業規則に退職金の支給規定が定められていて、パート社員就業規則を作成していない場合には、パート社員にも退職金の支払い義務が生じる可能性もあります。

就業規則は法令(労働基準法などの法律)や労働協約(労働組合と会社による労働条件などの取り決め)に反して作成することはできません。就業規則が法令や労働協約に違反する場合、所轄労働基準監督署長はその変更を命ずることができ、変更に従わない場合は、30万円以下の罰金に処せられます。つまり、就業規則作成に際しては、守るべき基準があるということで、その効力関係は次のようになります。

法令>労働協約>就業規則>労働契約

就業規則は労働契約(従業員と個人的に取り決めた個々の労働契約)に優先し、労働協約は就業規則に優先し、法令は労働協約に優先するということで、
① 法令に違反する労働協約は、
その違反した部分は無効となり、法令の基準が適用され
② 労働協約に違反する就業規則は、
その違反した部分は無効となり、労働協約の基準が適用され
③ 就業規則に違反する労働契約は、
その違反した部分は無効となり、就業規則の基準が適用さる
ということです。

例えば、就業規則で「1週間の労働時間は45時間とする」と定めても、労働基準法で1週間の労働時間の上限は40時間とされてますので、就業規則で定めた1週間の労働時間(45時間)は無効となり、従業員には労働基準法で定められている基準の40時間が適用されることになります。また、労働契約で通勤交通費は支給しないと定められていても、就業規則(賃金規程)で通勤交通費を支給すると定めていた場合は、労働契約の「通勤交通費は支給しない」の部分は無効となり、会社は通勤交通費を支払う必要があります。

就業規則の記載事項には、次の3種類があります。

① 絶対的必要記載事項
必ず定めて、就業規則に必ず記載しなければならない事項

② 相対的必要記載事項
定めるかどうかは自由。ただし、定めた場合は必ず就業規則に記載しなければならない事項
たとえば、退職金(相対的必要記載事項)は支給義務はなく、支給しても支給しなくても自由ですが、もし支給する場合は、必ず就業規則に記載しなければいけません。

③ 任意的記載事項
就業規則に記載することが義務づけられていないもので、法令や労働協約違反でなければ自由に記載することができる事項

絶対的必要記載事項および相対的必要記載事項には次の事項があります。

絶対的必要記載事項

① 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇ならびに交替制の場合には終業時転換に関する事項

② 賃金の決定、計算および支払いの方法、賃金の締切および支払の時期ならびに昇給の時期に関する事項

③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

相対的必要記載事項

① 退職手当に関する事項
② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
③ 食費、作業用品などの負担に関する事項
④ 安全衛生に関する事項
⑤ 職業訓練に関する事項
⑥ 災害補償、業務外の傷病扶養に関する事項
⑦ 表彰、精細に関する事項
⑧ その他、全ての従業員に適用される事項

絶対的必要記載事項や相対的必要記載事項を記載していない就業規則については、その他の要件が満たされていれば、就業規則としては有効なものとなりますが、労働基準法89条の「就業規則の作成および届出の義務」違反の責任は免れることはできません。

また、労働基準法には記載されていなくても、育児休業法において従業員に対する休暇の付与が義務付けられていますので、就業規則には育児休業の規定を定めなければなりません。(休暇に関する事項は、絶対的記載事項のため)就業規則の作成には、労働基準法だけでなく、他の関連法規を調べておくことが必要になります。

就業規則を作成し、または変更する場合には、①労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には、その労働組合、②労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

1つの事業場に複数の労働組合があり、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は、労働者の過半数で組織する労働組合の意見を聴く必要があり、その他の労働組合の意見は聴く義務は生じません。なお、労働者の過半数で組織する労働組合の意見を聴いて作成した就業規則は、全ての労働者に適用されます。

意見を聴くとは、同意までを求めているわけではなく、反対意見があってもその意見に拘束されません。(就業規則は会社と労働者のルールを決めるものですから、本来は会社と労働者の合意のうえ作成するものですが、労働基準法上は反対意見があっても就業規則の効力は妨げられないということであり、実務的には労働者の同意を得て就業規則を作成しないと、実際に就業規則の運用を行う場合にトラブルが生じやすく労務管理上の問題になりやすいことは間違いありません。)

就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出るときは、就業規則と一緒に上記の労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面(意見書)提出します。仮に意見書の内容が就業規則に対する反対意見であっても、就業規則の効力には影響しません。

※労働基準法上は、就業規則の作成において労働者側の同意までは要求していないので、会社は自由に就業規則を定めることが出来ます。
しかし、労働基準法2条で、「労働条件は労働者と使用者が対等の立場で決定すべき」と規定していますので、前提条件として、労働者と使用者が対等の立場で決定する必要があり、あくまで、就業規則の作成については反対意見であっても良いということです。

多くの会社の就業規則では、従業員の服務規律違反などに対して賃金減額などの制裁規定を設けていますが、給料の減額は従業員の生活に大きな影響を与えるため、労働基準法第91条で次の2点の制限を定めています。
※違反者には30万円以下の罰金が課されます。(労働基準法120条)

① 1回の違反行為に対する減給の額は平均賃金の1日分の半額を超えることができません。
1回の違反行為に対する減給の額は総額で平均賃金の1日分の半額を超えることができないという事で、例えば、1日の平均賃金平均賃金が10、000円のときは、1回の違反行為に対しては5,000円までしか減給することができないということです。
仮に1回の違反行為で20,000円減給したいと思い、5,000円ずつ4回減給するようなことはできません。

② 減給の総額は1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えることができません。
1賃金算定期間中に、数回の違反行為をした場合でも1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えることができないということで、例えば、1ヶ月の賃金が300,000円のとき、1ヶ月にたとえ何回違反行為をしても30,000円までしか減給することができないということです。

制裁として、賞与から減給する場合も、1回の違反行為に対する減給の額は平均賃金の1日分の半額を超えることがでず、総額は賞与額の10分の1を超えることができません。

制裁を実際に行なう場合は、注意しなければならないことが多く、主な注意点を下記に記しておきますが、適正な運用を行なわないと会社と従業員のトラブルの原因になりますので、慎重な対応が必要となります。

※遅刻や早退をした時間分の賃金を支給しないことは、減給の制裁には該当しませんが、30分に満たない遅刻や早退を常に30分に切り上げて減給するような場合は、減給の制裁に該当します。また、3回遅刻した場合は1日欠勤とみなす取り決めなども、減給の制裁に該当します。

※制裁として、従来通りの仕事をさせながら、賃金額だけを下げた場合は、減給の制裁に該当します。

※就業規則に懲戒処分として出勤停止処分を定め、その期間中の賃金を支払わないことは、減給の制裁に該当しません。

※就業規則に懲戒処分を受けた場合は、昇給させないと定めても、減給の制裁に該当しません。

※懲戒処分として役職を降格させ、格下げとなった役職手当を支給することは、減給の制裁に該当しません。

就業規則は、一度作成し、労働基準監督署に届け出たら終わりというものではなく、法令の改定・労働環境の変化・社内の労働条件の変更・運用上の問題などにより、就業規則の変更が必要となる場合があります。就業規則を変更することによって、従業員に現在の労働条件よりも不利益な労働条件を課すことを就業規則の不利益変更といい、代表的な例としては、賃下げなどがあります。

「労働者の同意」に記しているように、就業規則の作成・変更には労働者の同意は必要ありませんが、労働基準法2条の「労働条件は労働者と使用者が対等の立場で決定すべき」との規定により、原則として、会社側の都合による一方的な労働条件の不利益変更は認められません。

しかし、就業規則の目的は、社員を一定の秩序のもと有機的・組織的に就労させること、そのために統一的かつ画一的な定めをすることを建前としているため、就業規則の変更が合理的であるかぎり、個々の社員は同意しなかったことにより、その就業規則変更を拒むことは許されません。

結局、合理的な理由があれば就業規則の不利益変更も認められるということで、過去の就業規則の不利益変更に関する判例では、次のことなどを総合的に考慮して合理的な理由があるかどうかを判断すべきとしています。
① 就業規則の変更により従業員が被る不利益の程度
② 会社側の変更の必要性の内容・程度
③ 変更後の就業規則の内容自体の相当性
④ 代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
⑤ 労働組合などとの交渉の経緯⑥ 他の労働組合または他の従業員の対応
⑦ 同種事項に関するわが国社会における一般的な状況

など、労働条件の不利益変更は、よほどの会社経営上の事業があってのことだと思いますが、会社と社員との重大なトラブルの原因となるほか、社員の労働意欲の低下など、会社の経営上のデメリットも生じるので、社員と十分な話し合いを行い、慎重な対応を行なう必要があります。

※労働基準監督署は、「合理的な理由があるかどうか」のような民事的な法律問題には対応できず、①賃下げにより賃金が最低基準を下回った、②労働条件変更により1週間の労働時間が40時間を超えたなど、法律に違反した事項の対応となり、合理的な理由があるかないかを判断できるのは裁判所です。

就業規則は、社員の労働条件や服務規律を具体的に定めた「会社の法律」のようなものですから、社員は就業規則の内容を知る権利があり、会社は社員に次の方法により、就業規則を周知させる義務があります。(労働基準法106条)

① 常時、各作業場の見やすい場所に掲示、または備え付ける
② 書面を労働者に交付する
③ 磁気テープ・磁気ディスクなどに記録し、各作業場に、この記録を常時確認できる機器を
設置する

就業規則の周知義務違反は30万円以下の罰金刑となります。(労働基準法120条)

就業規則の周知は、就業規則全文の周知が必要で、要旨や一部のみの周知では周知義務違反は免れません。また、就業規則は社員に周知させていなければ、その効力は発生しないので、注意が必要です。

就業規則は作ったものの、社長の机の中に入っていて、社員は就業規則があることを知らないという話を聞くときがありますが、このような場合、就業規則の効力は発生しません。

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